ものの値段の変化を見ていると面白い

去年10月の終わり、発売直後にWindows 8を買った。
前々からWindowsを入れ替えることになったらハードも替えようと思っていたので、その前から物色を続けていていたハード選びをもうちょっと真剣に進め、一台減ったとはいえPC8台もあるところにまた増えるのではいい加減置く場所がないので、必要なくなるものを処分しつつ入れ替えることにし、手際悪くオークションで売ったりして2月中旬になってパーツを買い始めた。
この時の為替レートは1ドル92円ほど。昨年からどんどん円安になって一段落したところで、回転速いメモリーなんかは一つ残らず値上がりしていた。もっと早く買えばよかったと少し後悔したが、その後の値上がりが大きく悪くない判断だったとも思う。
あの時メモリーの値上がり率がひどくて、為替は2割ほどしか動いていないのに7割値上がりしたものがあった。それ以外も2割では済まなかったように記憶している。欲しいけど値段を見て買い時を見極めようとしていた人たちがもう下がらないとわかって大挙買った結果需給バランスが突然変わって値上がりしてしまったということだろう。
さらにそのあとメモリー以外、コンピュータ関連以外のものも徐々に値上がりし、やがてニュースでは小麦製品の値上げが報じられたりもした。


今月に入って為替がまたぐっと動いて1ドル100円近くまでなり値上げラッシュになるだろうといろいろ見てみたところ、なんと逆に下がっている。
ちょっと前からガソリン価格が下がり続けていて、理由は需要減だと言われていた。
値上がりしたあと下がっているものは年末時点より下がってしまっているものがある。


一般庶民が倹約に慣れ使う金が増えたわけでもない中での値上がりが更なる出費抑制を呼んでデフレが止まらない展開だったら笑える。
日銀の政策は功を奏さないばかりか害すらあるように見えなくもない。


アメリカはリーマンショック後の金融崩壊を圧倒的な量的緩和で食い止めた形だが、あれは崖から足を踏み外した人を落ちる前に腕をつかんで思い切り力を込めて引っ張り上げたようなものだ。
日本の場合日銀総裁が代わって"圧倒的量的緩和"を始めたわけだが、こちらはさしずめだいぶ前に崖から転落して谷底に叩き付けられ全身骨折で息も絶え絶えの人の腕をつかんで崖の上まで飛び上るほどの力で引っ張り上げようとしているようなもんで、引っ張られる人は「痛い、無理。」と断るか、断れなければ耐えられずもっと骨バラバラになるか。
適切なタイミングでやれば効果があっただろうが、構造をほとんど変えないまま今やって期待されるような結果を得られるかというと、それは多分無理だということを物の値段が示しているように思う。


自分の場合どうなるかというと、株で稼いだ分でちょっと前なら値段を理由に買わなかったものを以前より安い値段で買う。
でも背景を知っていると気分いい買い物にはなってない。

コンピュータを使って需給を元に自動的に価格を割り出すやり方に弊害があるのでは

売れにくいものの値段がものすごい勢いで下がる。
買う側ですら正直不当に安いと感じるケースを度々目にする。
安すぎて何か裏があると疑うほどだが、在庫を持ちたくない、継続して一定の売り上げを確保したい、そういう売り手として至極真っ当な理由でそうなっている。
でも実際は少々高くても売れるはずのものだ。元々たくさん売れるわけでもないものの値段を日々自動的に変動させると無意味に叩き売りすることになる。
もったいない。


そういうのを買い叩いてeBayで売ればそこそこ利益が出る。
おかしな経済状況だ。