MozillaはXUL廃止を本当に実行に移すのだろうか

MozillaFirefoxXPCOMXULを廃止すると決定してからずいぶん時間が経って、昨年末に渋々自分もちょっと手を動かしてアドオンを作り直そうとしてみた。
一番簡単な構造のものはたぶん一番簡単だからこれで基本形を理解してからほかに移ろうと思い、以前からbootstrap型に作り替えようと何度か試みていたのだが、さっぱりうまくいかず、今回もやはり失敗。
一方でXPCOMを使っていて一番手間取るだろうと思っていたものは手を付けて数時間で完成してしまった。
構造が簡単な方はFirefoxデフォルトのUIを変更するものなのでその辺が引っ掛かってうまくいかないのかもしれないとは思うのだが、やる気が失せて結局放置状態。
オーバーレイ型からbootstrap型に作り替えるに当たっていろいろ調べたが、これに際して見つけたMDNのドキュメントがいい加減を通り越して嘘の塊で、サンプルコードは動かず、この動かないコードを書き込んだのは各所で嘘出鱈目吹聴しているような人物で、こんな奴が好き勝手できるほどコミュニティ全体の活動が低下している。


アドオンの更新状況を見渡してみて、Mozillaの発表を受けてbootstrap型に作り替えたものは見当たらない。
このままMozillaの計画通り変更が入ったらアドオンは壊滅状態になるだろう。
そもそもあの決定自体諸々考え合わせるとユーザーや開発者の利便性を犠牲にして金儲けしやすくするためのものだとしか考えられず、新しいタブに表示される広告が廃止されたのと同様に後で撤回されるかもしれない。
XPCOMはCross Platform Componentの略であって、まったく普及せずMozilla製品しか使っていない上にバイナリコンポーネントの利用が廃止された今となっては存在意義が無い。これが廃止になるのはわかる。こんなもの無いほうが格段にわかりやすい。
しかし一方でXULの廃止はソフトウェアとしては意味のあるメリットがない。開発の自由度は下がるしかかる手間も増えるし、ユーザーにとっても目に見える形で恩恵があるわけでもない。
しかもFirefox側の更新によってオーバーレイ型のアドオンは引き続き動いているのにおそらくSDKで作ったであろうbootstrap型のアドオンに動かないものが出てきて、なんだかもう滅茶苦茶になっているのだ。


現状Firefoxの開発は、修正箇所がどういう機能を担っているのか、修正の結果どう変わるのかなどの影響評価をろくにせずに、その場の思い付きでやりたい放題やっているような印象で、実際開発に関わっている人物の発言を見たら「理念を実現するためならユーザーがどう思おうがアドオンがどうなろうが関係ない」という本末転倒なことを言っている人がいて、誰も咎めない状況。
Firefoxに合わせるしかないアドオン開発の側からするとなんだか馬鹿馬鹿しくてやってられない気分になる。
今AMOにアドオンをアップロードすると待ち行列は25個くらいだが、以前は常時100個以上あるのが普通だったことを考えるとこの衰退具合は取り返しのつかないところまで来ている印象がある。


しかしMozillaはこのところ資金面での不安がなくなりブラウザ開発だけで組織を維持していけると考えるに至ったようで、今うまくいっている、うまくいく体制は正しい、現開発体制・開発姿勢は正しい、と考えてしまっている感がある。
アドオンの待ち行列が短いのもレビューが順調な証だと都合良くとらえるかもしれない。


実のところ資金面でうまく回っているように見えたのは景気変動の影響で一時的に好転しただけのように思えるので、モバイルOSの開発をやめてしまったのは間違いだと思う。もしまた状況が悪くなったら今度はもう逃げ場がないだろう。
企業の使用も多いオープンソースのソフトだからある日突然消えて無くなってしまうということはないし、今の段階でもフォークしたブラウザが存在しているので先行きを心配する必要はあまりないとは思うが、そうであってもやはり迷走とか混迷とかいう風になるのは勘弁してほしい。