堀江氏

ホリエモン、というタイトルをつける気にはならなかった。


逮捕されたとのこと。
これまで報道されたことはおおむね事実であるようだが、捜査の様子を見ると間違いなく起訴されるだろうし、法廷に持ち込まれれば確実に有罪になるだろうという気がしている。


違法行為があった。
これについて、見つかる可能性は低いと考えていたらしい。
堀江氏自身いろいろと過去の事例について勉強していただろう。そうして知識を得たからこそ言えるせりふを何度も聞いた。
違法行為の手練手管についても知っただろう。当然日本でも使える発想があることにも気付いただろう。
しかし、そうした手法が明るみになって第三者の知るところとなったのはそれが処罰の対象になったからである、ということに気付いていなかったか、あるいは意図的に無視した、とみる。
平たくいえば、日本社会をなめていた、ということになろうか。
日本社会の古い体質の中には積極的に壊していかなければならないものがあるとは思うが、悪事を見逃さない目は絶えることがあってはならないし、実際決して絶えることはない。
前例のある悪事を行って逃げおおせると考えたとすれば、それは「愚か」という言葉で表すしかないだろう。


どこで誰がどうやって調べたかわからない、という言葉も出ていた。
昨年ソフトバンクが移転を発表したが、その理由は「”ヒルズ族”という言葉で一括りにされるのは困る」というものだった。
あの時点で何らかの空気を感じていた人は少なくなかっただろう。自分も”誰もがあこがれる”対象としてメディアに取り上げられる場所から離れるという決断に違和感を感じ、ヒルズ族と呼ばれる人々が目に付かないところで良からぬことをしている可能性を考えるようになった。
当然、もっとライブドアに近い立ち位置にいた人たちは明確にわかっていただろう。「どこで誰がどうやって調べたかわからない」というのは状況認識の甘さを如実に表す言葉なのかもしれない。


今の自分はメディアの報道自体を信用できない体質になっているが、あえて報道されていることを信じると「99%バレない」ということがメールの中でいわれていたようだ。違法性を認識しているのならば、少なくとも目立たないようにしているべきだった。
それに99%というのはどう考えてはじき出した数字なのか。企業に関する情報は上場企業ならば有価証券報告書に載る程度のことなら誰でも知ることができ、今時そんなものはいちいち買わなくてもネットで見ることができる。また、上場企業でなくても登記された情報は知ることができる。
99%の人は気付かない、ということだったのではないか。捜査機関でなくても調べ上げることでメシ食ってる人は大勢いる。その気になれば結局暴かれる、そうは思わなかったのか。


彼には一時期いろんな期待をした。それだけに落胆や失望感も大きい。
今では何もかもが疑わしく見える。


調べてみると、


  • Livedoor Interactive S.L.

    • スペイン インターネット広告サービス 97.4% ― 役員の兼任あり
  • Livedoor Europe GmbH

    • ドイツ ヨーロッパにおけるモバイルコンテンツの販売 100.0% ― 役員の兼任あり
  • Myrice Limited

  • 英極軟件開発有限公司

    • 中国大連市 ソフトウェア開発 100.0% ― 役員の兼任あり


    (%はライブドアの所有割合)

    というのも出てくる。
    国内にとどまらないもっと大掛かりな、つまり日本の市場どころか日本経済自体の信用を失墜させるような行為がまだまだあるんじゃないか、そんなことまで考えてしまう。
    平均年齢30.7歳、平均勤続年数1.5年というあの会社でいったいどんなことが行われていたんだろうか。


    堀江氏の存在のポジティブな効果をもたらす部分まで一気に吹き飛んでしまう、それが惜しい。
    そして、彼がITの寵児と称されていたことで、他のまじめにこつこつと積み上げてきたIT業界の猛者たちにまで要らぬ逆風が当たるのが怖い。
    また、コンピュータを操ることで自己を表現している多くの人が今までとは違った目で見られるようになる可能性があることが悲しい。


    ただ、彼はまだ”容疑者”であるということは是非忘れないでおこうと思う。