Xbox360にとって日本市場は”酸っぱい葡萄”

これ本気で書いてるのかなぁ、と思いながら何度か読み返した記事二つ。


Analyze This: Does Microsoft Need Japan to Make the Xbox 360 a Hit?
http://gamasutra.com/features/20060719/wen_01.shtml


タイトルを見て分かるように、アナリストに対する質問が一定の方向性を帯びていたわけで、それに対する回答が偏ったものになるのは当然だが、それを踏まえても、この記事の存在自体がXbox360の日本市場での絶望的な失敗を物語っている。
3人のアナリストが共通して言っているのは、日本市場でシェア争いをする必要はないということ(理由は各々異なる)、文化的背景の違いがXbox360の普及を妨げていること、普及のためには日本のゲーム開発企業との提携が不可欠だ、という三点。
日本のゲーム機メーカーはきっちりアメリカで成果を上げていることを考えると、具体的には触れられていないもののMicrosoftのゲーム事業は任天堂ソニーに劣っていることを暗に指摘している。
Microsoftが手をこまねいている間にValveは日本企業と組んでHL2をゲーセンデビューさせてしまった。PS3にも移植するらしいのでビジネス面でVlaveはうまくやってるということなんだが、企業間での明暗さらにくっきり、という印象。


Xbox360にとって重要な市場ではない”とか"マイクロソフトのミスじゃない"てのは本気で言ってるのかね。
筐体のデザイナーに日本人を選んだり、会長を引っ張り出してきて「さぁんろぉくまぁるぅ」と言わせてみたり、大々的にテレビでCM流してみたりしたじゃないか。日本市場が重要だと判断したからこそ経営リソースを割いたはず。それでもなお売れなかったのだから、その意味するところは明々白々。
"酸っぱい葡萄"状態。


In the Game Wars, Nintendo's All Charged Up
http://www.businessweek.com/globalbiz/content/jul2006/gb20060727_018869.htm?chan=tc&chan=technology_technology+index+page_more+of+today%27s+top+stories


最後のほう、an analyst at Nomura Securities in TokyoのYuta Sakuraiの予想としてWiiの出荷台数が4000万台であるのに対してPS3は7100万台という数字が出ている。
このYuta Sakuraiとは野村證券金融経済研究所企業調査部シニアアナリストの桜井雄太氏のことで、顧客向けレポートでのコメントらしい。
このレポートはソニーの4-6月期決算が発表される2日前に出されたもので、要するに、ゲーム関連事業で巨額の赤字が計上されるのは誰の目にも明らかだが、顧客の中には当然のものとして受け止められない人もいるだろうから安心剤としてなんか書いとけ、という魂胆だろうと思う。
台数の予測は2011年までにという但し書きがついている。ずっと先の話。製造が始まったばかりだし発売は11月(以降)であることを考えると、赤字が積み上がるのはこれからが本番だし利益に貢献し始めるのは少なくとも数年先。
最近の株価の動きを見た感じから推測するに、野村證券自己売買部門あたりは順調に任天堂株を売り抜ける一方でソニー株は大量に購入したまま保有しているだろう。また、市場全体が不安定で急落しないように小細工したいタイミングでもあったはずだ。


そういう背景があるレポートの内容で一喜一憂している人が大勢いる。
なんだかなぁ。
まあ、この記事の中では「ゲーム開発企業がWiiのほうを向いている」としている点を取り上げて、任天堂の先行きが強いという意見を補強するために使われているわけだが。
で、この人はPS3が7100万台売れると本気で考えているんだろうか。