日本でWinny判決が出た一方、海外で衰えず進むファイルシェアリング等々

Winny裁判についてはかなり語りつくされているかというと、そうでもないようだ。
一つにはきちんとした法律の知識を持っている人が非常に少ないこと、もう一つは法律の知識を持った人の中に技術に詳しい人が少ないことがあると思う。
先日の判決は、誰もが納得する判決、ではなく、激しい異論が最も出ない判決、であったように思う。
あの判決ではテクノロジー寄りの人間は相当な不満を抱えたままになるし、他方P2Pは既存のビジネスモデルを破壊するものだと考えている人にとっても今後の安泰を保障するものでは到底ありえないため不安なままだろう。


金子氏が控訴しているため終わったわけではないが、ひとまず区切りがついた今の段階でWinnyの利用者は減っていない。
これは何もこの件が日本で起こったからだとかWinnyの利用者が特殊だからというわけではないようだ。


ドイツ:
BitTorrent surpasses eDonkey and now generates more traffic in the German Internet than any other application
http://www.ipoque.com/en/pressrelease_ipoque_241006.html

P2P traffic generated by Internet file sharing is still on the rise in Germany.
... Despite the many past campaigns by copyright holders, P2P usage has even grown.

スウェーデン:
File sharing still popular in Sweden
http://www.thelocal.se/5836/20061218/

One in five Swedish Internet users has used a peer-to-peer file sharing programme at some point, according to a new report.

ドイツの調査ではeDonkeyのシェアが2番目に高いが、すでにクライアントソフトのeDonkey2000の開発は行われていないしサイトも閉鎖されてアクセスするとこんなメッセージが表示される。

The eDonkey2000 Network is no longer available.



If you steal music or movies, you are breaking the law.


Courts around the world -- including the United States Supreme Court --
have ruled that businesses and individuals can be prosecuted for illegal
downloading.


You are not anonymous when you illegally download copyrighted material.


Your IP address is XXX.XXX.XXX.XXX and has been logged.


Respect the music,  download legally.

しかしeDonkeyネットワークを使用するP2Pソフトはメージャーでないものも含めると数え切れないほどの種類があり、オープンソースのものも少なくないのでクライアントソフトの開発を中止に追い込むやり方では利用者がいなくなることはない。
このネットワークにはサーバーが必要だが、サーバーについてもおそらく同じ事が言えるだろう。


P2Pに関連して世界各地で裁判沙汰になっていることは多くの人が知っているだろう。
だからといって使用をやめるわけではない。
さて、ここで民主主義の理屈を持ち込んだらどうなるか、と考えてみた。
というのも、ついこの間、ルーマニアチャウシェスクが広場で国民に向かって演説するも反発する国民がシュプレヒコールをあげはじめこの日を境に状況が急激に悪くなり後に処刑される、という映像を見る機会があったのだが、この風景がなんとなくネットでの著作権論議の有り様に似ているような気がしたのだ。
民衆の力が体制を動かす、というよりは、民衆の力に体制が抵抗できなくなるという形でブレイクスルーが起こりはしないか*1、という期待を現実のものとして持てるような気がし始めている。
処刑される側になるか、処刑する側になるか、その岐路に立っている気分。


そんな中、自社のサイトの記事にクリエイティブコモンズを採用するという新聞社が出てきた。
http://journalism.nyu.edu/pubzone/weblogs/pressthink/2006/12/15/newspaper_chain.html
また、知らない人はいないかのBBCが、BitTorrentクライアントの開発で知られた企業が立ち上げた動画配信サイトで番組の配信を始めるという。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/6194929.stm
何かの終わりが始まっているのは間違いない。


さて、国外にあるYouTubeに放送局や著作権管理団体が文句言いに行ってる日本の今後は。

*1:Winnyの作者も似たようなことを言っていたと思うが、もしこれが目的ならやり方が間違っていると思う。