著作権侵害の非親告罪化、なんか変じゃないか

たとえば自分が作ったマップがどこかに勝手にアップロードされていたとする。
自分はそれを知っているが、そういう使い方をされることは想定内だし作品の広がりを止めるようなことをしたのでは本末転倒なので放置していたとする。
ところがどこかから誰だか知らない人が突然出てきて、「あなたの著作物が勝手に使用されていたので告発しておきました。そして賠償を勝ち取ることができました。で、ここまでやったんだから賠償金の一部を私にください。」などと言ってきたとする。


著作者としての私が留保していた権利はたしかに侵害されています。しかしその状態を放置することこそが自分にとっての最大の利益なのであって、それをぶち壊しにされるのは看過できない。
著作者としてはとっても迷惑です。
おまけに、そうやって著作者の意図をぶち壊しにした行為は何の侵害行為にも該当しない。


さて、こういう馬鹿げたことが起こらないようにするには、自分の著作物には留保する権利の範囲と留保しない範囲の両方を明記し、さらにその意図まで明確にしておかなければいけなくなる。
そうしないと"著作者の意図に反し"ていることを明確にできない。
しかし権利関係をすべて網羅するのは結構面倒。というか事実上無理。
ここまでしても尚、その著作物の利用が営利活動でもない限り、第三者が勝手に告訴することによって起こる不利益を止めることはできない。
"通常"の著作権侵害があった場合、親告罪であっても非親告罪であっても実際上の運用ではやはり著作者が告訴することで初めて侵害行為として表に出ることになるだろうと考えられるが、非親告罪とすることで制止不可能かつ挽回不可能な形で著作者の意図や著作活動を妨害できるようになる。


もっとシンプルで効率的な法体系にしてくれよ。
複雑で細々とした規定を作れば作ってる間は周りから仕事しているように見えるし作ってる本人もなんとなく働いてるような気がするだろうが、規定が多岐にわたるほど、すべてを知り尽くしている人が少なくなるほど、侵害行為はやりやすくなり、結果として法を壊していることにもなりかねない。
より良い法を作るべき立場の人間が法を壊しているとなれば、これはもう無能だとしか言いようがない。


んでまあ散々手間かけて法改正して何かが変わるのかというと、実際の運用上は別に変わらないんだろう。どうせ。
ますます利権団体がでしゃばるようになるのも間違いないだろう。
事態はさらに混沌とし、さらに著作者の権利や意図が踏みにじられ、それらがますます補足しにくくなるんだろう。たぶん。