著作権保護、筋を通すべきだと思う

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/071214/trl0712141843006-n1.htm
http://www.asahi.com/national/update/1214/TKY200712140312.html
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20071215k0000m040143000c.html
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007121400993


ベルヌ条約によれば、

第三条

(1) 次の者は、次の著作物について、この条約によつて保護される。

(a) いずれかの同盟国の国民である著作者 その著作物(発行されているかどうかを問わない。)

(b) いずれの同盟国の国民でもない著作者 その著作物のうち、いずれかの同盟国において最初に発行されたもの並びに同盟に属しない国及びいずれかの同盟国において同時に発行されたもの

(2) いずれの同盟国の国民でもない著作者でいずれかの同盟国に常居所を有するものは、この条約の適用上、その同盟国の国民である著作者とみなす。

(3) 「発行された著作物」とは、複製物の作成方法のいかんを問わず、著作者の承諾を得て刊行された著作物であつて、その性質にかんがみ公衆の合理的な要求を満たすような数量の複製物が提供されたものをいう。演劇用若しくは楽劇用の著作物又は映画の著作物の上演、音楽の著作物の演奏、文学的著作物の朗読、文学的又は美術的著作物の伝達又は放送、美術の著作物の展示及び建築の著作物の建設は、発行を意味しない。

(4) 最初の発行の国を含む二以上の国において最初の発行の日から三十日以内に発行された著作物は、それらの国において同時に発行されたものとみなす。


第四条

次の者は、前条に定める条件が満たされない場合にも、この条約によつて保護される。

(a) いずれかの同盟国に主たる事務所又は常居所を有する者が製作者である映画の著作物の著作者

(b) いずれかの同盟国において建設された建築の著作物の著作者又はいずれかの同盟国に所在する不動産と一体となつている絵画的及び彫塑的美術の著作物の著作者


第五条

(1) 著作者は、この条約によつて保護される著作物に関し、その著作物の本国以外の同盟国において、その国の法令が自国民に現在与えており又は将来与えることがある権利及びこの条約が特に与える権利を享有する。

(2) (1)の権利の享有及び行使には、いかなる方式の履行をも要しない。その享有及び行使は、著作物の本国における保護の存在にかかわらない。したがつて、保護の範囲及び著作者の権利を保全するため著作者に保障される救済の方法は、この条約の規定によるほか、専ら、保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる。

(3) 著作物の本国における保護は、その国の法令の定めるところによる。もつとも、この条約によつて保護される著作物の著作者がその著作物の本国の国民でない場合にも、その著作者は、その著作物の本国において内国著作者と同一の権利を享有する。


条約に従うのであれば、北朝鮮で作られた映画は、日本においては日本の著作権法で保護されているのと同様に扱われなければ筋が通らない。
おかしな判決だと思う。
条約の趣旨を全く無視した判決があっていいものか。



以下元記事引用


産経

北朝鮮映画 国交なく対象外 著作権侵害訴訟
2007.12.14 18:43


北朝鮮で製作された映画などを日本の民放2社に無断で放映され、著作権を侵害されたとして、これらの作品を管理する北朝鮮の行政機関「朝鮮映画輸出入社」などが、日本テレビ放送網フジテレビジョンの2社に計1100万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が14日、東京地裁であった。阿部正幸裁判長は「国交のない北朝鮮著作権を保護する義務はない」として、原告の請求を棄却した。


北朝鮮の著作物について、日本国内で著作権が認められるか否かについての初の司法判断。北朝鮮は平成15年、国際的に著作権保護を定めたベルヌ条約に加盟。これに対し、文化庁は国交がないことを理由に著作権を認めない見解を示している。


阿部裁判長は「現在の国際法秩序の下では、国交のない国との間に国際法上の権利義務は生じない」と判断。その上で「著作権は保護すべき重要な価値だが、国家の枠組みを超えてまで尊重することは困難」と指摘し、「ベルヌ条約北朝鮮が加盟していても、日本との間に権利義務は生じない」と結論づけた。


判決によると、日本テレビとフジテレビは平成15年5月から17年11月にかけて、報道番組などで、北朝鮮で製作された映画やニュース映画など31作品を使用した。


北朝鮮の映像作品の使用料をめぐっては、日本テレビやフジテレビが払っていない一方、TBSは報道引用以外には支払うとし、テレビ朝日は通信社が配信した映像を使うなど、各社で対応が分かれている。


朝日

北朝鮮映画の著作権、保護義務なし 北朝鮮側の請求棄却


2007年12月14日19時17分


国交がない北朝鮮の映画の著作権を日本国内で守る義務があるかどうかが争われた訴訟の判決で、東京地裁(阿部正幸裁判長)は14日、「北朝鮮との間に著作権保護を定めた国際条約上の義務はない」と判断し、テレビ放映の差し止めなどを訴えた北朝鮮の行政機関側の請求を棄却した。


北朝鮮文化省傘下の行政機関「朝鮮映画輸出入社」と、同社と映画著作権について契約している「カナリオ企画」(東京)が日本テレビとフジテレビを相手にそれぞれ提訴。両社がニュース番組などで北朝鮮の映画を無断で放送したと主張した。テレビ局側は「北朝鮮は国家として承認されていない」との理由で保護する義務はないと反論していた。


日本と北朝鮮は「同盟国の国民の著作物の著作権が保護される」としたベルヌ条約に加盟している。判決は、北朝鮮が条約に加盟していても、国交のない日朝間では保護義務が生じないと判断。国家として承認していない国との間の条約上の義務について「集団殺害や拷問の防止など、普遍的な国際公益の実現を目的としている場合」には例外的に適用される余地があることにも言及したが、ベルヌ条約上の著作権保護はこうした場合にあたらないとして保護義務はないと結論づけた。


「カナリオ企画」の小林正夫代表は「日本の著作権者の権利を見放した判決。北朝鮮側で日本の作品が使い放題になっても、何も言えなくなってしまう。ほかの著作権者の権利を守るためにも控訴する」と話した。


毎日

北朝鮮映画:「無断放送」の賠償請求を却下 東京地裁


北朝鮮の行政機関「朝鮮映画輸出入社」などが、映画を無断で放送されたとして、日本テレビとフジテレビに放送差し止めと計1100万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は14日、請求を棄却した。阿部正幸裁判長は「日本は北朝鮮の著作物を保護する義務を負わない」と述べた。


日テレとフジは03年6月と12月、原告の許諾を得ずに北朝鮮映画の一部をニュース番組で放送した。原告側は、北朝鮮が03年に国際的な著作権保護に関するベルヌ条約に加盟したことを根拠に、日本の著作権法で保護されるべきだと主張したが、判決は「日本は北朝鮮を国家として承認しておらず、国家間の権利義務関係は存在しない」と判断した。


毎日新聞 2007年12月14日 22時09分


時事

2007/12/14-19:52 「日本は保護義務負わず」=北朝鮮映画の著作権東京地裁
北朝鮮製映画を無断で放送し、著作権を侵害したとして、同国の行政機関「朝鮮映画輸出入社」(平壌)などが、日本テレビ放送網フジテレビジョンを相手に放送中止と損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は14日、「日本が保護義務を負う著作物とは言えない」と述べ、請求を棄却した。
阿部正幸裁判長は「日本は北朝鮮を国家承認しておらず、国家間の権利義務関係は存在しない」と判断した。
原告側は「北朝鮮は著作物保護に関する国際条約に加入しており、条約メンバーの日本には北朝鮮の著作物を保護する義務がある」と主張した。しかし、阿部裁判長は「多数国間条約に加入しただけで、突然、権利義務関係が発生するとは認められない」と退けた。