間違っていると思う

http://www.afpbb.com/article/1203065


最初に作った作品は、1996年に起こった実際の事件をモチーフにした。
テロリスト達のうち過半数が貧しい農村の出身で、ほとんど世間を知らないままわずかな現金につられてテロリスト集団に加わったと聞いている。このゲバラ主義者たちを当時大統領だったフジモリ指揮する対テロ部隊が全員射殺した。一部は降伏の意思を示していたと元人質が証言している。フジモリは貧困層に支持基盤があっただけに反発が大きかった。今年2006年、日本で事実上の亡命生活を送っていたフジモリが南米に戻った。しかしその後の動静は聞こえてこない。
ちょうどそのころ、何人かのペルー人のCS:Serからメールが来た。ナイスなマップをありがとう、という内容だったが、微妙な気分だった。


二つ目の作品は現在進行中の問題を扱った。
チベット独立運動を行っている組織の拠点が日本にもあったり、中国の反日プロパガンダが目に余るものがあったのもこの題材を選んだ理由の一つだった。
欧米ではあまりこの問題は知られていないだろう、このマップを使うCS:Serたちは初めて知るという人も結構いるだろうと思った。問題の存在を知ってもらうだけでも十分だと思った。
今年、チベットで中国軍の兵士がチベットに向かう人の列を射撃する様子や命からがら外国人のキャンプに逃げ込んだ人の動画がネットに出回った。
西蔵鉄道の開通などもあって明るい話が多いものだと思い始めていた時期だっただけに、ショックだった。


三作目はもう重い題材を選ぶのはやめにしようと思った。
しかしそのぶん力が入らなかったのは間違いない。


そして今年も終わろうとしている今、CSの舞台にもなっている中東で、どうも納得のいかない処刑が執行された。
"人道に対する罪"が罪状だという。
イラクを銃火の坩堝にしてしまった国の指導者は変わらぬ生活を送っているのに、だ。
あの国で戦争が始まるときに掲げられていた大義名分は結局嘘だった。
今になって振り返って見ると、開戦自体が間違っている。
その間違った戦争で"敵の総指揮官"として追われていた人物が、"人道に対する罪"で処刑された。
確かに彼は批判に値する悪事を先導した過去があるのは事実だろう。
ただ、彼が処刑されるのであれば、他にも処刑されるべき者が大勢いるはずだ。


これはちょっとおかしいんじゃないか、と思っている人は多いだろうと思う。
しかし、自分には特段直接的な不利益が無いから我関せず、という人もまた多いだろうと思う。
嘘や間違いをきっかけに人が殺されても誰も文句を言わない世の中が形成される、ということ自体が我々にとっての不利益なはずなのだが。