懲りずによく調べる、調べることに懲りない

中国の発表が嘘まみれで信用に値しないのはよくわかったが、一方の日本も面倒な突っ込まれ方しないように嘘ではないが一部事実に意図的に触れないようにしている。
"日本側の主張"だけを見てそれが事実を全て言い表していると考えるのもまずいのだった。


かつて清の海軍力が日本を上回っていて清海軍の艦艇が日本まで来て船員が上陸し九州で略奪行為を働いていた時期がある。
清海軍というより清で一番強い海賊みたいなものだ。
日本が尖閣諸島の存在に気付いたのはこの時期で、どこの国にも属しておらず住民がいないのも確認した上で、最初は立て札を立てるところから始めて人が住み事業を営み...と実効支配の実績を積み上げ、しかし清の目につかないように公式には何も発表せずにいた。
気付かれれば力づくでで取られるかもしれない。取られないという確証はこの時期なかった。
しばらくして日清戦争が起こり、この戦争中で終結の2ヶ月前、日本は閣議決定尖閣諸島を正式に領土としたわけだ。
もう戦況は明白で日本の勝利は間違いなく、清に取られる心配はなくなったので領有を宣言できた、そういう意味では、日本は日清戦争によって尖閣諸島を手に入れた、と表現できなくもない。
この点日本側できちんと言ってる人を見たことがない。政府もこの点には触れない。
ただし前述のとおり日本が「日清戦争によって尖閣諸島を手に入れた」とは言えるが「清の領土だった尖閣諸島を武力で奪った」のでは断じてない。
どこの領土ともされていなかった、空白地帯だった、しかし日本が実効支配していた、そういう島を、日清戦争をきっかけに軍事的な意味で安全に占有できることが明かになったから正式に宣言した、ということだ。


日本が抱える領土問題をよく見ていくとキーになるのは唯々「軍事力のバランス」でしかない。
尖閣にしても竹島にしても、戦後ここの帰属が問題にならなかった時期はアメリカ軍が"爆撃訓練場"として使っていた時だけだ。
近付いたら死んでも知らないよ、と。
竹島は訓練場としてアメリカに貸していたが朝鮮戦争が終わって爆撃訓練の必要がなくなるとすぐ日本に管理権限が戻され、日本の防衛力が整備される前だったので取られて取り返せなくなった。
尖閣は沖縄の一部としてしばらくアメリカが管理していたため返還時日本は防衛力を有していて取られずにすんでいる。
台湾は尖閣を含む沖縄の返還協定が締結される数ヶ月前に領有権を主張し始め、中国は正式にアメリカの手を離れることが決まってからいい始めている。
で、今中国が軍事力を増した(つもりになっている)ことで各国の離島に食指を伸ばしているわけだ。


つまり中国は初めから軍事衝突上等というスタンスなのだ。
上等というか、なんなら是非とも武力で海上の領土を奪い取れるところを世界に見せつけたい、くらいの姿勢かもしれない。


日本政府のいってることだけを見聞きしてるとこういう事態になってることは全然わからなかった。
そんな平和的外交交渉だけで片が付いたりするんだろうかと疑問に思ってはいたが、やっぱり無理だというのが実状だ。


幸い軍事力で負けてはいない。