選挙のネット利用の可否について

衆議院選を前にして今ニコニコ動画党首討論を見ている。
選挙活動でのネットの利用は今の段階では禁じられているが、日本で解禁したらどうなるだろう。
アメリカではうまく活用されてるようにみえる。
何かにつけて極端に走りがちな日本できちんと活用しつつ有効利用できるだろうか。
マニフェストとか個々の候補の主張とか、そういうのをネットなしに集めるのはなかなか面倒で、また選挙中に方向転換する事もあるわけだから事前に用意したものだけというのも困る。
多分ソシアルネタを活用できるかどうかということになるのだろうが、バカ発見機とも言われるツールを使うととりあえずダメな候補はすぐに見分けられるんじゃないかとは思う。
いやそういう候補の論外な感じはそんなことしなくてもわかるか。


ずっと前を振り返ってみると、掲示板の選挙ポスターとテレビの政見放送とあのうるさい街宣車での名前連呼だけですべてが決まっていた。
今考えると恐ろしい話だ。
そんな選び方で議員になった人たちに国家運営任せて日本はこんなことになってる。
同じ事を繰り返すのでは馬鹿だろう。
ネットを使えるようにした方がいい。


しかし変えるには法律が必要で、法律を作るには国会議員が賛成しなければいけなくて、国会議員はこういうの苦手だろうし、苦手なもので選挙を戦いたくないだろうから賛成もしそうにない。
なにも議員自身が全部やらなくていいのだ。得意な人に任せればいい。


で、どうやったら腰の引けた古い人に新しいものを使うよう説得できるだろう。
こういう課題は政治の世界だけでなく日本中どこにでもある"壁"で、今風前の灯火になってる大企業でも上の立場の人にやり方を変えるよう説得する事ができたら傷の浅いうちに方向転換できたはず。
そういう説得の技術ってのは、自分は持ち合わせてないなぁと思う。
合理的なものを納得しないうやつの方が悪い、という発想もあろうが、守りたいものが山ほどある古い人の立場で考えたら若造の戯言など耳は貸さないのが当然の対応なのかもしれない。
柔軟に考えることができる人もいたことはいたが、自分が知る唯一かもしれないその人の例では、企業経営改革が必要だと改革委員会みたいなものを作って検討させた結果まずお前が辞めろと言い返されそれを受け入れて本当に辞めてしまった。それで改革することができる人材が一人もいなくなってしまったのだ。
本当に改革できるかどうかという結果論から言うと彼は失敗したわけで、本人だけが柔軟でもうまくいかない。


説得。納得させる。で、動かす。
ある種のプレゼン技術で、同時に説得する相手を危険にさらさないよう環境も作らないといけない。
しかしそういうスキルを日本で身につけるのはなかなか難しい。
生意気だとか言われるし。


"ネットなしで選挙やって勝てる権利"みたいなものが既得権になってる形で、これでは当分変わらない。
最短距離は現職議員にネットリテラシを身に付けてもらうことだろう。
スマートフォンタダで配るとかして。
実際似たようなことをしていた人はいた。実を結んでいないということは現職議員側が拒否反応を示した結果か。


アメリカ大統領は通例として在職中外部との通信手段を一切持たないようにするのだそうだ。
ところがオバマはそれを覆して自分の携帯端末を持ち込む"権利を勝ち取った"。その一方で彼は今までの大統領が電話していたような場面で電話せずふらっと自分で歩いて相手に会いにいくということがよくあるらしい。来られた方はノーネクタイかネクタイ緩めて腕まくりした大統領が"Hey,"って突然部屋に入ってきて驚くが、皆そのやり方に慣れたし顔を見て話す方が意思疎通はスムーズだ、と。
コミュニケーションの重要性をよく知っているからそういうやり方をするのだろう。


ではコミュニケーションを殊更避けるとなるとそれはどういうことか。
意思疎通がない、誰が何を考えているか誰も知らない、組織も集団もまとまりがなく、全員が状況を把握できないまま行動する、そんなことになったら最悪だと思うが、アメリカと比べて相対的に今の日本はまさにそういう状態だ。


国家のあり方を決める選挙の場でコミュニケーションの重要性を認識させ当然のものとしてネットの利用を導入する、そこを起点にコミュニケーションの価値を国民全体に理解させて社会全体を変える、そういうことがアメリカではできている。


良い部分はぜひとも真似して取り入れたいところ。