Yahoo買収の件に端を発する動きを見て日本の先行きを考えてみる

Yahoo買収にメディア大手が名乗りをあげるような事態になってしまっているが、かつて Time Warner がAOLを買収して派手にコケたのが記憶に新しいので、かなり白い目で見られている。
もっともこれはYahooが買収価格を吊り上げるために仕組んだものだという考え方もできるのでまだ断定的なことはいえないが、できれば自分のものにしてしまいたいと考えている企業は多い。


こうした動きの中で、Yahooだけの問題だけで収まらない買収合戦が起こるという話が出始めている。
軸になるのは"エンターテイメント"ということになると考えていい。
インターネットの利用に費やす時間が増えれば当然他に費やす時間は減る。
Yahooの問題はインターネット検索市場とかネット広告とかそんな小さな話ではなく、インターネットどころかその外にある多種多様なテレビ、映画等々エンターテイメント業界すべてに影響が出る。
これまではインターネットを単に広告等のツールとしか捉えていなかった企業が本格的に潜在的敵対勢力として見始めたといってもいいかもしれない。
既に携帯デバイスがPCに取って代わる可能性が日本以外でも強く意識されてこれまでの枠組みで考えていては流れに取り残されるという認識が広がっているが、これに絡んで通信手段間でも競争の激化も避けられない。
こうしたわけでYahooが買収されるという話がきっかけになってネット関連、テレビや新聞等のメディア、ケーブルテレビ、固定回線の通信事業者、携帯電話事業者等を巻き込んだ壮大な買収合戦が繰り広げられるという予測が出てきている。


実際にこういう社会構造ないし経済構造を根本的に変えてしまいかねない再編が進むと、いろんな面で寡占化が進んで社会はより不健全になるだろうと思う。
個人的にはメディアと通信両方を幅広くカバーするコングロマリットは現れないほうがいいと思っている。
まあ、手を広げすぎて失敗した企業がこれまでに数え切れないほどあるので、その轍を踏むようなことをする人はそうそういないだろうとは思うが。


で、日本。
ソフトバンクが携帯電話事業を買収してしまったのも同じ方向性ではある。
携帯電話がエンターテイメントの入り口として機能しているあたり、他国より先んじているといえる。
日本には広告代理店という他国では見かけない"業種"があるが、この本来エンターテイメントに絡む諸ビジネスの中心にいなければいけないはずのプレーヤーがネットに疎い。
冗談かと思うほどの驚愕の疎さ。
他国より進んだ構造ができている日本に他国では考えられないほど古いスタイルに頼り続けている企業が残っている。
この救い難いネット適応力の欠如が広告代理店の地位を脅かすことになったりしないかなぁと期待する。


Yahoo買収案件だけでそんなところにまで影響が出るわけないか。