アメリカが”極秘に”情報を集めていたとされる件の問題点

"元CIA職員"による"暴露"という"事件"発生から時間が経って、状況がはっきり見えてきて、これを分析すべき人がきちんと吟味し始めている。
まず第一に、この件に絡んで名前が挙がったすべての国が亡命を受け入れていないが、元職員はアメリカを敵に回してまで手に入れる価値がある情報などそもそも持っていないのだろう。
アメリカにとって広く一般に暴露されれば困るネタではあるが、実のところ誰でも知ってる公然の秘密程度のものでしかない、ということだ。
だからこの件の問題は問題ないことが問題になっている点だ、と考えていたのだが、アメリカの新聞社の幹部の話だとそういうわけではないらしい。


この幹部はスパイ活動はどの国でも行っている当たり前のことで、このスパイ活動とは端的に言えば他国の法を犯して情報を集めることだ、と断言している。「他国の法を犯して」という部分はいろんな意味を含んでいて感情論では紛糾する部分ではあるが、まあ言ってることは事実だ。
ところが問題はそれ自体ではなくて、アメリカの諜報機関アメリカの法を犯してアメリカ国民から情報を集めていた疑いが強いことと、アメリカにとって重要な同盟国から国家安全保障と関係があるとは思えない情報を収集していたことだ、という。
民警団法的な感覚で考えるとアメリカ国民としては絶対に許容できない情報収集だったにちがいない。
また、安全保障と関係ないというのは自国の防衛のためではなく他国を操るうえで役に立つ情報を集めていたということだろう。
そうであってもたいていの人は「アメリカってそういうことする国だよね」と考えていたのではないか。
アメリカ人は自国が倫理的尊敬を受ける国だと夢想しているのかもしれないが、そんな事実はないと思う。


こうしてみ見てみると、アメリカ人の違法行為によってアメリカ当局がアメリカの法を破ってアメリカ人に損害を与えていたことが露見し現実にそぐわないアメリカの尊厳が傷つけられた、というのがこの事件の概要だ。
くだらない。


元職員はロシアの空港にいるらしいが、この件に関してのロシア大統領プーチンのコメントは「元職員はアメリカを傷つけるのをやめてほしい」というものだった。
その程度で傷つくなんて、という嘲笑が含まれているように聞こえる。